前回(【図書修理】はじめての図書修理『シノビガミ大判』 前編)の記事の続きです。前回は表紙を直したので今度は本体の修理に着手。
本の状態はというと、
まず外れてしまっているページが6枚。そのうちの3枚は前小口(ページをめくる側の長辺)側に小さな破れがあります。
また、背表紙分も割れてしまっているのでこちらも接着します。
ページの破れの補修
ページの破れの補修は以下2つの方法を使い分けます。
さっそく1の方法で破れ目を貼り合わせました。糊しろは多少狭くても案外くっついてくれます。今回は破れ目の痕が少し目立ちますが、前小口に印刷の無い文庫などであればほとんど気にならないと思います。
こちらは2の方法で補修したページと糊付けのみのページとの比較。表紙のときは裏面から和紙を貼ることができましたが、このページのように印刷と被らざるを得ない場合だと少々かすれたようにな見た目になります。極力薄口の和紙を使ってはいるのですがこればかりは仕方ありません。
ページの外れの接着
では続けて外れたページを接着します。
ページの接着のためには糊しろが必要なため、まず各ページのノド側(ページを綴じる側の長辺)に糊しろ用の和紙を付け、本の元のページへ差し込むように接着していきます。
接着を終え乾燥中の様子。糊が余計な場所へつかないようクッキングシートを挟み込んでいます。
乾いたらクッキングシートを抜き取って修理完了。接着したページはしっかり開いてよく見なければわからないほど自然です。
ただこれ、途中で気づいたのですが一部のページがわずかに飛び出してしまっています。一応気がついてからはしっかり差し込むことで目立たなくすることができましたが、使っていて気になるなら付け直しかヤスリがけが必要かもしれません。(ちなみにでんぷん糊は水溶性なのでつけ直ししやすいのも長所です)
背表紙の修理
最後に割れた背表紙の修理です。
これまでのように薄めたものではなく、原液のままのでんぷん糊を塗布して固定。さらに重しをのせて乾燥させます。
このようにしっかりとくっついてくれました。
振り返り
こうして、いくつもの負傷を抱えてあわや大けが目前という状態だったシノビガミ大判でしたが、どうにか安心して読めるルルブへと修理することができました。
とはいえ至らない部分や反省はかなりありました。いくつかは記事中でも触れましたが、次回の挑戦までにもっと勉強し、直しきれなかった経験を活かしていきたいところです。
今回はここまで。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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