今回はSW2.5(ソード・ワールド2.5)の流派のお話です。
追加サプリメントのバトルマスタリーの登場でいろいろと面白いデータが増えたので、まずは流派をざっと見た雑感をまとめてみる。
紹介されているのはアルフレイム大陸固有の流派10種と、SW2.0(テラスティア大陸)からSW2.5用に変換された流派8種、さらにその他2.0時代の流派の転用指針だ。
アルフレイム大陸の流派
イーヴァル狂闘術:
雄叫びを上げながら敵をぶったたく流派。
《全力攻撃》を強化しダメージ上昇&怯みを付与する流派特技がシンプルに強力。反面、イマイチ噛み合わない《挑発攻撃Ⅰ》を前提として習得する必要がある。なおこの前提をバトルダンサーの追加特技枠でちょろまかすことができるかどうかが物議を醸している。装備することで精神効果属性の抵抗に+1される流派アイテムも魅力。
ミハウ式流円闘技:
体捌きとシャベルを駆使して翻弄する流派。
挑発回避アタッカー垂涎の《ディスラプト》は《挑発攻撃Ⅰ》のダメージが減る代わりに攻撃を強制し、さらに反撃まで行える素敵技。他にも《ディフェンススタンス》を物理/魔法ダメージ軽減に変化させる《ディスパース》、離脱準備のペナルティをなくす《ディスエンゲージ》など回避型以外にも需要のある特技を擁している。だてに大陸中に広まっているわけではないということか。
カスロット豪砂拳・バタス派:
拳の一撃に全てを懸けるストイック流派。
拳ップラーはとりあえずで入門して1H拳の流派アイテム《鉄砂拳》シリーズを取るだけでもいい。それで連続攻撃しては流派の名が泣く?それはそう。それはさておいて、本領は一撃火力をブーストし防護点をも「破壊」するロマン技《一撃万破・鉄砂崩拳》。しかし連続攻撃火力を捨てることになるため、長期戦の開幕にぶっ放すくらいがいいとこか。
マカジャハット・プロ・グラップリング:
魅せる格闘技すなわちプロレス流派。
拳投げップラーと噛み合いのいい特技がわかりやすく揃っている。〈投げ〉不可の相手にもデバフと追い打ちを入れられるようになるほか、《飛び蹴り》の代わりに2体をぶん殴ることができる。流派アイテムは〈キック〉を失う代償に〈投げ〉の命中力を+1の装備とどこまでもわかりやすい。
ナルザラント柔盾活用術:
攻防一体に盾を使いこなす盾技特化流派。
回避成功時や被ダメが少なかった際に回避力デバフを与えることができる。そのため盾持ちならば耐久型と回避型どちらであっても入門しておいて損はない。体勢を崩した相手への与ダメが上昇する《プランドリポスト》の存在も嬉しい。使用には流派アイテムによる盾の加工が必須だが、必筋ギリギリで生きているフェンサーを除き問題にならないと思われる。
アースト強射術:
あらゆるものを強引にぶん投げる射撃(投擲)流派。
C値を犠牲に必筋を超えた武器を扱うことができる特技が売り。筆者シューター無知ゆえそこまでして持ちたい武器があるのかはよくわからない。流派アイテムのおっきな石がBランクにしては威力高めなのでこれをぶん回すのがいいのだろうか。《鷹の目》が前提となるが、乱戦への射撃に命中力+2できる《横睨みうち》はシンプルに使いやすそう。
ヒアデム魔力流転操撃:
近接攻撃と魔法の連携に特化したマルアク流派。
無論《マルチアクション》を習得しないと入門すらできない。近接攻撃の成功/失敗時にそれぞれ魔法行使判定が有利になる二種の特技と、命中力判定強化版《魔力撃》である《法剣魔測眼》を持ち、いずれも魔法戦士の戦いの幅を広げてくれる。流派アイテムは魔法を行使したラウンドの回避力を+1する防具。お高め。
古モルガナンシン王国式戦域魔導術:
魔法による遠距離&広範囲支援に特化した流派。
実質的にあらゆる支援魔法のMP消費を-1する《戦域魔導術アンナマリーア》は支援役必須級。また《戦域魔導術ベロニカ》は魔法を受けた対象が任意のタイミング(補助動作or戦闘準備)で効果を受けられる魔法の遅発行使を可能にする。こちらも雑に使っても強力なうえ悪用できる予感しかしない。5倍のMP消費で範囲を全域に拡大できる《戦域魔導術トルクワート》は味方にまとめてバフを撒くには輝くか。
ダイケホーン双霊氷法:
操霊魔法と妖精魔法を融合させた独自の魔法を操る流派。
一定ランク以上の妖精魔法が使える条件でのみ行使できる操霊魔法を習得できる。戦場全域にダメージ増加やデバフ、スリップダメージを付与して実に嫌らしく戦うことができる。しかし味方はしっかりと守れるうえダメージの属性も変更可能と創始者の配慮が行き届いている。流派アイテムはスリップダメージが強化される宝石入れ。
スホルテン騎乗戦技:
騎獣との一体性を重視した軽装騎兵術の流派。
騎獣側も《囮攻撃》使えるようになる《波崩し》が際立って使いやすそう。《斬り返し》の攻撃失敗時、騎獣の命中が上がる《影断ち》シリーズはそもそも《斬り返し》を外す前提なのがいただけないが、《本影断ち》では騎手のダメ―ジ上昇が魔法ダメージにも適用される点が何かに活かせるのかもしれない。主動作で自身と騎獣の回避力を上げる《風薙ぎ》はうーん…部位数の多い騎獣ならありなのか?流派アイテムは騎獣の判定にも割れる指輪/腕輪。これのためだけに入門する騎手も続出しそうだ。
テラスティア大陸の流派
ヌードリアン流古武道・メルキアノ道場:
尻尾と翼のリルドラケン伝統格闘流派。
《テイルスイング》に転倒効果がつく秘伝特技は尻尾使い垂涎!一方で翼を使って投げる《飛空投げ》は魅せプ以外で有効な場面が想像できない。それでも《大転がしテイルスイング》の前提特技のため、5体をすっ転がしたければ取るしかない。流派アイテムの防具はグラップラー、バトルダンサーの選択肢ではあるが習熟Aを取るほどかどうか。
エルエレナ惑乱操布術:
布を使った回避術を極めるマタドール流派。
《必殺攻撃》に命中力低下のリスクがつく代わりに回避力が高まる《迫る刃に怯えよ》シリーズが必殺フェンサーと見事に噛み合っており有能。一定の出目以上で「抵抗:必中」含めて回避が自動成功になる《美しき舞に惑え》シリーズも当然強力だが、高ランクほど前提特技が増える点が悩ましい。《見えざる敵に苛立て》シリーズは…さすがに殴った方が早いと思う。流派アイテムは回避力+1される布。秘伝特技に必須なので片手は埋まることになる。
ファイラステン古流ヴィンド派(双剣の型):
攻撃的な二刀流戦法を極める流派。
《両手利き》さえ持てばファイターでも《カウンター》や《変幻自在》のような動きができちゃう素敵流派。(あくまで「ような」ですが…)さらに《衝風・捨身相殺》は命中力をなんと+2もしてくれる。え、反撃が必中になる?敵に手番を渡すことが間違いなのだよ。流派アイテムは…バルザー剣までの繋ぎ?
クウェラン闇弓術改式:
近距離での射撃戦に熟達する流派。
ボウシューター限定のニッチ流派でありながら、射程を犠牲にして命中力上昇&C値低下を得たり、乱戦内限定で《必殺攻撃》や《薙ぎ払い》じみた力業ができるようになる。名実ともに《射手の体術》使いの生きる道。シャドウなら入門名誉点が少し少ないのも嬉しい。流派アイテムは暗いと目立たない弓。
ヴァルト式戦場剣殺法:
剣とは柄で殴るもの流派。
一見すると嬉々として刃を握り込む変態流派だが、刃属性クリティカル無効対策としては普通に有用。《全力攻撃》や《必殺攻撃》のリスクが自傷ダメになるので回避型にも恩恵がある。流派アイテムの手甲は自傷ダメージを軽減できるが、貴重な手の装飾品枠を要求されるのが厳しい。
ガオン夢想獣投術:
部位数多いほど燃えちゃう投げ流派。
投げ型強化にわくわくしながら読んで「複数部位へのカウンター投げは通常不可能」という新事実を突きつけられた投げップラー愛好家のみなさん、僕と握手。いやね《猛進獣殺》取ればいいって?宣言特技枠食うので実質ナーフです。……まあそれはそれとしよう。ほか二つ、特に投げた相手を敵にぶつける《撃爆投獣》は純粋に活躍の幅が広がり万々歳。流派アイテムは《猛進獣殺》の命中力判定を+1する〈キック〉武器。
聖戦士ローガン鉄壁の型:
聖戦士に倣いし鉄壁タンク流派。
防護点を高める《ディフェンススタンス》である《不倒なる守りの構え》でカチカチになり、受けきれば《不屈なる庇護の意志》によって《かばう》回数を減らさずに守り続けることができる。《マルチアクション》しながら生命or精神力抵抗を高める《不敵なる攻守の備え》も支援と合わせるならノーリスク。一部特技には流派アイテムの盾が必要だが、盾習熟も噛み合うので悪くはなさそう。
クーハイケン強竜乗法:
守勢に重きを置いた騎乗術流派。
《牽制攻撃》と《全力攻撃》の変化型特技を持ち、いずれも騎兵の生存力を高めてくれる。当然ライダー技能を持ち騎乗状態であることが前提となっている。流派アイテムの槍は騎獣に設置するため必筋のわりに威力が高い。ついでに騎手の手が自由になるあたり何かに使えそう。
総評
全体としてキャラクターの個性や戦いの幅を広げることが重視されており、雑に取って強い類のデータは少なく感じた。かといって使えば使えないこともない調整が好印象。実際、上記以外のSW2.0流派の転用にあたっては、ゲームバランスの観点から秘伝特技ごと削除されているものもあるようだ。
ただし名誉点フリーのルール上、ランクが上がるといくらでも流派を掛け持ちできてしまうのは少し気になる。このあたりキャラ付け重視の層とデータ重視の層で住み分けないと要らん火種を生むかもしれません。
©Group SNE「ソード・ワールド2.5」
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