【DX3rd】なぜサイレンが強いのか?

2022年5月12日木曜日

DX3rd エフェクト データ考察

t f B! P L

サイレンとは何だ?

《サイレンの魔女》だ。

なぜサイレンが強いのか?


この記事の中身

本記事では誰もが知る強エフェクト《サイレンの魔女》を例にあげ、DX3rdにおける攻撃系エフェクトの"強さ"について考える。

《サイレンの魔女》

最大レベル:5
タイミング:メジャーアクション
技能:〈RC〉     難易度:対決
対象:シーン(選)   射程:視界
侵蝕値:5      制限:-
効果:周囲全域に振動波の攻撃を加えるエフェクト。
 「攻撃力:+[LV×3]」の射撃攻撃を行なう。このエフェクトを組み合わせた攻撃では、対象の装甲値を無視してダメージを算出する。このエフェクトを組み合わせた判定には、《コンセントレイト》を組み合わせることはできない。

    矢野俊策/F.E.A.R (2009). ダブルクロス The 3rd Edition ルールブック1 富士見書房 pp.135.

    高火力だからだ

    《サイレンの魔女》は「LV×3」の攻撃力係数を誇る。これは「LV×2」の係数があれば上々な基本ルールブック環境下において、まして「制限:-」のエフェクトのなかでは疑いなく最上級の火力だ。また、最大レベルが5である点も見逃せない。エフェクトの新規取得にあたって必要な経験点はレベルアップの三倍だ。もし攻撃力係数が同等なら、最大レベルが高い方がより火力効率が高く優秀なエフェクトと言える。


    多機能だからだ

    《サイレンの魔女》は「対象:シーン(選)」「射程:視界」であり、さらに「装甲値を無視」という三つの機能をあわせ持っている。(以下、1番、4番、5番)

    <攻撃系エフェクトの代表的な機能>

    1. 火力増強系(攻撃力+、装甲無視、ガード時ダメージ増加)
    2. 達成値増加系(ダイス+、C値-)
    3. リアクション阻害系(ガード不可、ドッジダイス減少)
    4. 対象拡大系(範囲化、n体化、シーン化)
    5. 射程管理系(射程延長、移動攻撃)
    6. 弱体化系(バステ付与、行動値低下、判定ダイス減少)
    7. その他(行動済みにする、移動させるなど)

    とはいえ《サイレンの魔女》はコンボ全体の対象や射程を変更することはできないため、これらを活かすならエフェクトの組み合わせは制限される。また、装甲無視もそれだけで際立って強力な機能というわけではない。しかし、《伸縮椀》《ピンポイントレーザー》など上記機能の一つのみから成り立っているエフェクトが多数存在するなか、経験点わずか15点でこれらすべてを手に入れることができる《サイレンの魔女》は明らかに抜きんでている。


    起点エフェクトだからだ

    《サイレンの魔女》は「技能:〈RC〉」のエフェクトであり、攻撃力の設定されたエフェクトだ。つまり、他のエフェクトと組み合わせずとも最低限のコストで攻撃することができる起点エフェクトである。単独で使用できない「技能:シンドローム」のエフェクトは、いかに優秀であっても起点エフェクトにより最終的な経験点効率が左右される。しかし、自身が起点エフェクトである《サイレンの魔女》は、単独での使用はもちろん、「技能:シンドローム」のエフェクトも好きに組み合わせることができる。

    さて、以上の通り強力無比な《サイレンの魔女》だが、こんなエフェクトが基本ルールブック1から許されていたのはおそらく「《コンセントレイト》を組み合わせられない」というデメリットがそれだけ重く見られていたのだと思われる。だがしかし、そんな唯一のデメリットも、"ハヌマーン"というシンドロームの前ではさしたる問題にはならない。


    ハヌマーンとおれの《サイレンの魔女》は相性が良すぎるんだ。悪いな

    《サイレンの魔女》と、《サイレンの魔女》を擁するハヌマーン。その相性の良さは、「《コンセントレイト》を組み合わせられない」という《サイレンの魔女》唯一のデメリットを補って余りあるという話をしよう。

    例えば《援護の風》とそのリミットエフェクト《ウィンドブレス》は、命中判定の達成値を効率よく稼ぎつつ戦闘以外でも万能の支援力を発揮する。ピュアブリード専用エフェクト《疾風迅雷》を採用すれば、敵はそもそもドッジを行えず、達成値に関係なく攻撃を命中させることができる。つまり《コンセントレイト》で命中達成値を稼げないというデメリットを容赦なく踏み倒し、さらに上位の機能を得ていると言える。

    ハヌマーンとの相性の良さは長所を伸ばす方向にも発揮される。二回行動を可能にする《ライトスピード》や、イニシアチブプロセスで行動する《スピードフォース》はシーン攻撃と相性抜群だ。《マシラのごとく》は単体攻撃ながら+「LV×10」という暴力的な火力を持ち、取り巻きを失ったボスに致命的な一撃をお見舞いする。短所補ってあり余りすぎである。

    ここからそれっぽくまとめるなら、「短所を補える組み合わせ」や「長所を伸ばし合える組み合わせ」が存在することも、エフェクトの強さを決める要素の一つと考えることができる。そしてその点から見ても《サイレンの魔女》は強い。


    "オルクス"の"雨粒"の"矢"やで、強くないわけがないやろ

    ところで《雨粒の矢》というエフェクトをご存知だろうか?

    《雨粒の矢》

    最大レベル:5
    タイミング:メジャーアクション
    技能:〈RC〉     難易度:対決
    対象:シーン(選)   射程:視界
    侵蝕値:3      制限:-
    効果:大気中の水分を凝縮し、対象を撃ち抜くエフェクト。
     「攻撃力:+[LV×2]」の射撃攻撃を行なう。このエフェクトを組み合わせた判定には、《コンセントレイト》を組み合わせることはできない。

      矢野俊策/F.E.A.R (2009). ダブルクロス The 3rd Edition ルールブック2 富士見書房 pp.150.

      端的に言えば《サイレンの魔女》の攻撃力係数を「LV×2」に落としたうえ装甲無視を抜き、代わりに侵蝕値コストを2点軽くしたエフェクトだ。巷では「《サイレンの魔女》の下位互換」と揶揄されることもあるエフェクトであり、こいつがネタとして引き合いに出されることで《サイレンの魔女》の理不尽感が増している一面があるような気がしてならない。

      しかし《雨粒の矢》そのものの性能は決して低くない。「LV×2」という攻撃力係数は十分実用に耐えうるものであり、侵蝕値3点で「シーン(選)」「射程:視界」という優秀な機能を兼ね備えているのだから弱かろうはずがない。――ただ不幸があったとすればオルクスというシンドロームに生まれ、《サイレンの魔女》というエフェクトに出会ってしまったこと。県トップ級の実力があるのにたまたま全国級の幼馴染(実家が太い)がいたせいで鬱屈とした青春を送るハメになったみたいなそんな感じ。

      念のため弁護しておくと、たしかに《雨粒の矢》は《サイレンの魔女》より一般的に"弱い"エフェクトと言える。しかし侵蝕値コストが2点低く、異なるシンドロームに属しているという点は《サイレンの魔女》にはない個性だ。その個性は相性の良い組み合わせや特定の条件下においては強さに変わりうるため、一概に弱いエフェクトとして切り捨ててしまうのは早計だ。


      総括

      《サイレンの魔女》は強い。その強さの一つは「高係数多機能の起点エフェクト」であることによる絶対的な経験点効率の高さ。もう一つはハヌマーンに相性の良いエフェクトが揃い、類似のエフェクトと比較しても優秀という相対的な強さだった。

      ちなみにエフェクト一つ一つを見ていけば、機能面での絶対的な優劣は普通にある。しかしそれぞれが個性もまた持っているため、独自の用途を嬉々として探り、相性の良い組み合わせを求めては延々とデータの海を泳ぎまわる者が後を絶たない。楽しいんだこれが……

      以下余談。筆者は《雨粒の矢》のリミットエフェクト《シングインザレイン(BC)》がとても好きだ。ミュージカル映画『雨に唄えば』(原題:Singin' in the Rain, 1952年)はいいぞ。また、《雨粒の矢》をボスに持たせれば、PCの装甲値を大事にしつつシーン攻撃を展開できる。なんとGM思いの奥ゆかしいエフェクトだろうか。

      以上、侵蝕率に気をつけて良いダブルクロスを!


      本作は、「著:矢野俊策/F.E.A.R.、KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作作品です。
      ©F.E.A.R.「ダブルクロス The 3rd Edition」

      このブログを検索

      プロフィール

      自分の写真
      よく遊ぶシステム…DX3rd/CoC/SW2.5/シノビガミ/エルデンTRPG
      たまに…マギロギ/エモクロア/ステラナイツ/フィアスコ

      プロフィール絵は秋桜さん(Twitter@cosmos_mrst)からのいただきもの

      QooQ